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 東京都の区立小中学校や都立高校には、平成15年4月から主幹が配置されています。
その概要は、次のとおりです。


東京都の主幹制度について

【主幹級職新設の背景】

  東京都教育委員会は、社会環境の変化やそれにともなう新たな教育課題に対して積極的に対応できる学校運営組織をつくるため、主任制度に関する検討委員会を平成13年6月に発足させた。その最終報告では、現在の学校運営組織の問題点が次のように指摘された。

1
  職員会議で決定されない限り、課題に対応できなかったり、職員会議 で決めるべきでない内容も多数決で決めたりなど、意思決定システムが 十分機能していないこと
2
  教職員間に「横並び意識」が存在し、問題点があっても主任などが指指助言しにくい雰囲気があること
3
  学校の職員構成が、主任がいても、校長・教頭の指示を徹底するには自ら、教員一人一人に説明しなければならず、教員の力が統一されず、学校全体の教育力として高まりにくいこと

  東京都教育委員会では、主任制度を適正に機能させて、上記の問題点を解決していくために、これまでも、主任の教育委員会発令や、授業持ち時間数軽減・主任研修実施・企画調整会議設置などを進めてきた。 
  しかし、現行の主任制度では、「監督権限を持たないこと」「主任が職として設置されていないこと」「1年ごとの選任であり、主任としての能力の育成が難しいこと」「主任手当が月額5,000円程度で、主任としての職責の重要性を自覚させるものでないこと」などの限界があって、望ましい学校運営組織の構築は困難であることから、「経営層である校長・教頭と、実践層である教諭等との調整的役割を行い、自らの経験を生かして教諭等をリードしていく指導・監督層を設置する必要がある」として、その役割を担う新たな職を設置することになった。

  現行主任制度は、学校教育法施行規則で規定される国の制度であることから、都が現行の主任に対して独自に上述の職務権限を付与することはできない。このため、「学校教育法」でその他必要な職員を置くことができると規定されていること、そして、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に定める組織編制権に基づこの新たな指導・監督層職を「主幹」と名付け、現行の主任にはない次の職責を付与した

  この新たな指導・監督層職を「主幹」と名付け、現行の主任にはない次の職責を付与した。

教頭の補佐
  分掌の責任者として、分掌の教諭等の意見をとりまとめ、管理職の学校運営に意見を具申したり、分掌の教諭等に学校経営方針を周知徹底することで、円滑な学校運営を図る
調整機能
  分掌間で意見の対立があった場合、これまでのように、未調整のまま、校長・教頭の判断を仰いだり、職員会議で非効率的な議論をするのではなく、分掌の責任者が、相互に自分の所管する分掌の状況を正確に把握・説明し、相手の分掌の状況を聞いて、最善の解決策を探ることで、迅速・的確な判断を可能にする。
人材育成
  教諭等のリーダーとして、校長・教頭の指導・助言をもとに自らの経験を生かしてアドバイスを行ったり、さまざまな課題に対して率先垂範して取り組み、他の教諭等の模範となること
で、OJTの機能を強化していく。
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監督機能
  分掌の責任者として、常時、分掌の状況を把握し、学校経営方針を徹底し、所掌する校務の進行管理を行い、必要に応じて指示を行うことで、着実な学校運営を行っていく

  主幹の設置により、学校が組織的に機能し、教職員間の理解・協力関係が一層進み、児童・生徒により質の高い教育を確保できる。
  教諭をもって充てる主幹が、同じ教諭に対して、職務命令を発することができるのは、都教委及び各区市町村教委が学校管理運営規則を改正し、監督権限を持つ職として設置したからである。


【主幹級職の基本的考え方】

「主幹」の職責
  担当する校務に関する事項について、教頭を補佐するとともに、教諭等を指導・監督する。
「主幹」の任用管理
  主幹を教育委員会のもつ組織編成権により設置し、教諭をもって充てる。東京都教育委員会が選考を行い、合格者を主幹級の職員として各学校に配置するなど、任用管理(異動等)を行う。
「主幹」の処遇
  主幹の職責に応じた処遇とするため、手当ではなく給料として支給する。
教育職員給料表に新しい職務の級として、3級(教頭)と2級(教諭等)の間に特2級を設置し、主幹級職員をこの特2級に格付ける

  主幹は、管理職ではない。主幹の監督権の及ぶ範囲は、その主幹が所管する事項については、所管分掌を担当する教員のみならず、校内すべての教員に対してである。ただし、
事務職員や栄養士、学校用務員など、教育職員以外の職員に対しては監督権は及ばない。
  異動については、一般教員とは別に行われる。
  また、主任を兼務するので、主任手当も支給される。


【教頭職と主幹職との関連】

 教頭は、学校の管理職として、各主幹の調整や校内人事の調整など校長が行う校務を助けることが、主な職責となる。
 主幹は、教員のリーダーとして、所管する校務分掌を適切に進行管理することを主な職責とする。
 主幹は、担当する校務について、教頭を補佐する役割がある。このことによって、これまで教頭が直接行ってきた「校務分掌間の調整」「教諭等の人材育成」「校務分掌の進行管理及び監督」を各主幹がそれぞれ担当することとなり、教頭は主幹が分担して行うこれらの業務を、総合調整するなど適正に進行管理していくこととなる。


【主幹級選考】

 主幹級職選考は、小中高のすべてを東京都教育委員会が実施する。
 選考要素には、教員としての資質能力の観点で行われている人事考課制度における業績評価に加えて、指導・監督者としての資質能力を評価するための面接選考が実施される。


【主幹の配置】

  主幹を各学校に配置するにあたっては、まず、校務を次のとおり分類する。

○教務に関する事項  ○生活指導に関する事項  ○進路指導に関する事項
○保健に関する事項  ○総務に関する事項    ○図書に関する事項   ○研究に関する事項  


  そして、主幹は、校種ごとに定めた分担に基づいて、各分掌を所管し、担当する校務について教諭等を指導監督する。(主幹は、主任を兼務する)
  たとえば、全日制高校では、主幹を6名配置し、それぞれの所管は次のとおりとする。

○教務に関する事項    ○総務に関する事項   ○研究に関する事項
○生活指導に関する事項  ○保健に関する事項
○進路指導に関する事項  ○図書に関する事項
○学年に関する事項

○平成14年1月 東京都教育委員会『主幹制度に関する検討委員会』最終報告−学校運営組織における新たな職「主幹」の設置に向けて」(東京都教育委員会のホームページに掲載されています)

東京都の自律経営推進予算制度
〜校長がリーダーシップを発揮できる予算制度〜

1 自律経営推進予算制度とは

平成15年度予算から導入された、校長が主体的に予算編成から執行までを行う予算の仕組み。

2 目  的

都立学校の自律的改革に向けた「学校経営計画」を予算面で支え、校長の経営機能を充実するとともに、特色ある教育や個に応じた教育を推進し、教育の質の向上を図る。

3 自律予算の範囲

 対象は教科活動、教科外活動、管理活動を要する経費。
人件費、施設維持管理費、部活動費、保健給食費等は除く。

自律経営推進予算の編成対象科目(○印)

4 予算編成の例

11月末まで
予算編成指針の提示(校長)
予算見込額の総枠を提示(教育庁)
2月上旬まで
予算要望書の集約・ヒヤリング
予算編成(事務室)
2月下旬
編成後、教育庁に報告(校長)
4月以降
報告に基づく四半期毎に予算配付(教育庁)

5 自律予算の額

 1千数百万円〜2千数百万円(学校規模等により異なる)
 この制度導入に伴う、予算額の増加はない。

6 自律経営推進予算と事務室の役割

自律経営推進予算制度により、校長の予算面での責任と権限が増大した。事務室は、校長のマネージメントを支える機関として、校長の目指す学校像や経営計画を理解した上、中・長期計画に基づく重点的な予算編成を要求されている。そのため、校長を補佐する事務長の役割は、一層重要になってきた。

「東京都立学校自律経営推進予算実施要綱」(平成15年1月1日)に基づき作成

東京都立学校のバランスシート
<学校経営改革のためのツール>

1 なぜ、バランスシートを作成するのか

  現行の官公庁会計制度には次の「四つの欠如」が存在しており、これらの欠如を補完・改善するために、バランスシートを作成するものである。これにより、その事業に潜在している問題点を明らかにし、それらの改善策を積極的に推進することで、より適切な行財政運営が可能となる。

単式簿記による「ストック情報」の欠如
現金主義による「コスト意識」の欠如
住民への「アカウンタビリティ(説明責任)」の欠如
予算(Plan)、執行(Do)が重視され、検証・評価(Check)、見直し(Action)が十分に実施されていないことによる「マネジメント」の欠如

2 学校別バランスシートの作成意義

(1)
学校経営改革のためのツール
  現金の流れを把握するもので、資金の収支状況を明確にし、一般財源投入額を明らかにする「キャッシュ・フロー計算書」、民間企業の損益計算書に当たるもので、固定資産の減価償却等、現金収支を伴わないコストを明らかにする「行政コスト計算書」、ストック(資産・負債・資本)情報を説明するもので、資産投資状況を明らかにする「貸借対照表」の三つの財務諸表で構成され、民間企業の経営分析手法の導入により、より効果的で効率的な経営のためのツールとして活用する。
(2)
マネジメント(学校経営)の強化
  職員のコスト意識の向上や経営責任の所在を明らかにするとともに、学校運営の見直し・再構築、予算編成に役立てる。
(3)
アカウンタビリティの遂行
  学校活動を会計数値で表現することで、校長の学校経営責任者としての意識を形成し、経営体としての自主・自律を確立する校長裁量権限拡大等の諸施策の展開に伴う説明責任を果たす。

3 東京都教育委員会としてのマネジメントの向上

  学校別のコスト、ストック情報を明らかにすることで、「受益と負担の議論の素材」、「学校設置のコスト面(特にランニングコスト)での検討素材」、「経営分析手法について研究し、より効果的で効率的な学校経営に生かしていく」こととなり、マネジメントに必要な情報が明らかになる。

4 学校別バランスシートの分析と活用

  財務諸表を作成することが目的ではなく、学校経営改革のツールとして活用するため、分析を通じて実態を明らかにするとともに、分析指標を活用することで経営改善を一層進めていく必要がある。
代表的な分析指標(%)
キャッシュ・フロー計算書:一般財源充当額対サービス提供活動比、一般財源充当額対社会資、
本整備等活動比、一般財源充当額対総支出比
行政コスト計算書:行政コスト比率、人件費コスト比率、公債利子率、受益者負担率、一般財源充当率
貸借対照表:正味財産比率、固定比率、負債比率

5 今後の課題

  教育委員会事務局経費(総務費)については各学校に配分していないので検討する必要がある。

6 今後の方向

(1)
バランスシートについては15年度には普通高校で40校程度、盲ろう養護学校は校種別に5校程度、高等専門学校は2校程度に拡大し、16年度に全校で作成予定である。
(2)
東京都の公会計制度の改革については、単式簿記・現金主義を採用している一般会計・特別会計に複式簿記・発生主義を導入する。平成16年度に試行、18年度から本格導入予定である。

「東京都財務局:事業別バランスシート作成マニュアル」に基づき作成

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